「テメェら、女泣かせてまで遊びてぇの?」
その人はにっこりと笑ってそう言い、ガキボキと指を鳴らす。
「だったら、お兄さんと遊ぼうよ。朝まで付き合うよぉ?」
にやりと不気味に微笑むその男は、絶対にただ者ではなかった。
物凄い殺気を感じる。
「に、逃げろぉ!」
男たちは血相変えて、逃げて行く。
あたしは、その男の人を呆然と見上げている。
「なんだ、一発で終わり?」
つまらなそうに唇を突き出す男。
「……ロアさん?」
あたしはその男の名を呼ぶ。
「君ねぇ、なんでこんなとこにいるのかなぁ?」
ロアの笑顔が恐ろしい。
あたしは思わず目を逸らして、
「……そ、そういう……ロアさんこそ……今日はお仕事じゃなかったんですか?」
恐る恐るロアの表情を見つめながら、そう訊いてみる。
「あはは、そうだね、おあいこだ」
ロアは明るく微笑んで、あたしの頭を撫でた。
あたしは、ほっと安堵の息を漏らす。
「とりあえず、花屋に行こうか。家には帰りたくないでしょ」
あたしは、戸惑いながらもこくんと頷く。
「よし、行こう」
ロアはあたしの手を掴んで歩き出した。