「遊ぼうよぉ! 近くにいい店あるからさぁ」
肩に腕を回され、無理矢理引き寄せられた。
「やめ……」
怖くて涙で潤んだ目で、あたしは抵抗する。
「泣いてるよー。きゃあわいいー!」
ラウルだったらこんなとき、どうしてくれただろうか。
ラウルだったら、自分が俳優だってことなんて忘れて、あたしのためにこの男たちを殴ってくれていたと思う。
「大丈夫、俺がついてんだろ」って、笑顔であたしに言ってくれて……。
そんなことを考えていると、涙が溢れ出てきた。
どうして、こんなに愛しいんだろう。
どうして、あの人が頭の中から消えないんだろう。
「……ラ……ウル……」
男たちはあたしが泣いているのにも関わらず、店に連れて行こうと身体を引き寄せる。
「や……だっ……! 助けてっ……ラウルっ!」
気付けば、あたしは愛しい人の名を叫んでいた。
すると、あたしの肩に腕を回していた男が、急に誰かに殴られて倒れる。
あたしはその人物を呆然と見つめた。