家にはやっぱり報道陣が沢山いる。
皆、待ちくたびれたようにカメラを構えていた。
「ありゃ、入れるかね?」
その様子を遠くから見つめていたあたしたち。
ロアは顔をしかめてその様子を見ていた。
「裏口があるんで、大丈夫です」
あたしは家の裏に回る。
「さすがは有名人の家。報道陣対策も万全だねぇ」
ロアはにやりと皮肉めいた笑みを見せた。
「裏口は母が亡くなったときからあるんです。そのときも報道陣が沢山集まったみたいですから」
「世間も冷たいねぇ、ほっといてくれればいいものを」
「本当ですね」
鍵を取り出して扉を開けた。
「じゃ、ありがとうございました」
「いいえ、また明日ね」
ロアは、にっこりと笑って手を振り去って行く。
あたしは、ロアを見送って家に入った。