「酷いなぁ。そんなことないよ」
「じゃあ、ロアさんって何人女の人と付き合ったことあります?」
「普通それ訊く?」
ロアは苦笑しながらあたしを見つめる。
「えぇ」
「覚えてないよ」
「……ひどっ」
「軽蔑した?」
ロアは心配そうにあたしに問いかける。
「いや、そこまでではないですけど……付き合った女の人の数くらい覚えときましょうよ……」
「小学校時代のことまで覚えられないよ」
ロアは苦笑する。
あんたはそんなときからモテてたのかっ!?
「あたし、ロアさんが羨ましいです」
「……なんで?」
「だって、そんなにモテるなんて、羨ましいじゃないですか」
だが、ロアは首を横に振った。
「僕はリンちゃんの方が羨ましいよ。たった一人の異性を、そこまで愛せるなんてさ」
あたしはロアの台詞に思わず立ち止まる。
ロアはあたしの方を振り向いて、にっこりと笑った。
「僕なんか、最高2ヶ月しか続かないから」
一人の人を愛せないのは、本当の恋をしてないからなのかも知れない。
そう考えれば、ロアは結構可哀想なのだろう。
本当の恋が出来ないなんて、悲しすぎる。
そして、探しているうちに遊び人になってしまっただけ。
「……ごめんなさい、あたし、無神経でした」
「なんで? 全然そんなこと思ってないよ」
ロアはにっこりと笑ってあたしに手を差し伸べる。
あたしは一瞬戸惑ったが、ロアの手を取って歩き出した。