「……まぁ、そういうことだから。じゃあな」
レオはあたしに背を向けて手を上げる。
あたしは、あんなに辛そうな顔をしていたレオを初めて見た。
必死であたしに見られないように夜空を見上げていたけれど、そのときの表情が本当に辛そうだった。
レオもきっと辛かったんだろうと思いながら、小さくなっていく背をじっと見つめる。
「お待たせ。リンちゃん、寒くない?」
店の中から出てきたロアさんは、上着にマフラーという格好をしていた。
「あ、あたしは大丈夫ですよ」
あたしはにっこりと笑って答える。
正直薄い上着だけでは、防寒のなんにもならない。
実は滅茶苦茶寒いが、ロアには迷惑などかけられない。
「そう、じゃ、帰ろうか」
ロアは店の電気も消さずに歩き出す。
あたしはその後を追うように歩き出した。
「あれ、今日は泊まりですか?」
「うん、お金の計算したいからね。ほら、僕の家パソコンないから」
ロアは苦笑気味に答えた。
「本当にお金の計算なんですかぁ?」
あたしは横目でロアを見つめる。
「……リンちゃん、僕のこと遊び人だと思ってるでしょ」
「えぇ」
ロアと出会ってかれこれ、4年間くらい思ってます。
ロアの特徴の一部だろう。