日はすっかり沈み、外はもう真っ暗だった。しかし、時間的にはまだそこまで遅くない。
6時を少し過ぎた辺りだ。
もう冬なんだなー、と季節を感じさせる程の肌寒さを感じながら、あたしは残ったレオと共に花屋から出る。
「うっわー、もう息が白くなってる」
あたしはハァっと息を吐いて、空気中に舞う白い気体を眺める。
「ねぇ、レオ、今日お父さんと何を話したの?」
今日一日訊きたくても訊けなかった問いを、レオに思い切ってぶつけてみる。
「大人の話」
レオはそっけなくこう答えた。
「あ、あたしだって大人だもんっ!」
あたしはむっと脹れて、レオの腕を軽く殴る。
レオはさっきのあたしと同じように息を吐いた。
白い息は行き場を失ったかのように、空気中を漂いやがて静かに消えていく。
そんな息を、レオは悲しげに見つめていた。
「なぁ、リン」
「ん?」
「……リムなんだけどさ」
レオの言葉にあたしはあの無表情で甘ロリ服を着た、小さな少女を思い出した。