店が終わって夕方。
日はゆっくりと西の空に沈んでいた。
「レオ、飲みに行こうか?」
ロアは店の鍵を閉めてレオに問う。
「飲みたいんですけど、レポートが終わらないんです。もう二、三ヶ月大学行ってないもんですから。さすがに教授の目が恐ろしくなってきたもんで」
レオは苦笑しながら答える。
「ロアさんはいいんですか? いつもなら女の人と朝まで遊んでるんでしょう?」
「君ね、そんなに僕が遊び人だと思うか」
「えぇ。迂闊に夜のバイト先に入り込んだらいけない、ということを痛感しましたから」
「まだ根に持ってたの。もう別れたから大丈夫だって」
ロアはにかにかと笑いながら平然とこう言う。
「早っ! あれがきっかけですか!?」
「いや、結構前から原因はあったんだよね。まぁ、一ヶ月もっただけ奇跡だよ」
レオは半眼でロアを見つめた。
見るところ、ロアが振ったらしい。
贅沢者めが! と、レオは心の中で叫んでやった。
帰り道、途中までロアと同じなので歩きながら話すことにした。
「そういえば、リムの風邪はまだ治らないんですか?」
ロアはレオの問いに首を傾げる。
「誰、それ。可愛いの?」