どうしても忘れられない。

もう会えないのに、これ以上想ってたって無駄だって分かってるのに、それでもまだあたしの心はラウルを愛していた。

ラウルを想えば想うほど胸が締め付けられる苦しみに襲われる。

自分でも呆れるくらいラウルを愛してるのだ。

頭では、ラウルという名前がぐるぐる回ってる。

眠ればラウルが夢に出てくるし、起きていればずっと頭の中にラウルの笑顔が浮かんでいた。

そういう自分を冷静に考えてみると、自分は変態なんじゃないかという疑問にまで達してしまうのだ。

もう、頭がどうかなっちゃいそう。

「リンちゃん、どうしたの?」

いつの間にか生けて戻って来ていたライムは、あたしの顔を心配そうに覗き込んで問う。

「え、あ、ううん。何でもない」

「そう? ほら、生けてきたよ。ここ、置いておくね」

「うん、ありがとう」

あたしはにっこりと笑って見せた。

この笑顔も、無理している笑顔に入るのかな。

心から笑うって、どんなことだっけ。

馬鹿なあたしは、いつの間にか本当の笑い方を忘れてしまったらしい。