「サッチェスさん、検査のとき以外は病室から出ないで下さい。一般の患者さんにバレてしまったら一大事になりますんで」

「……はい」

あたしは目を伏せる。

「それに、一応あなたは生死の狭間にいたんですからね。助かったのは奇跡ですよ」

「え……? 生死の……狭間ぁ!?」

あたしは死ぬ寸前だったのか!?

と、今頃になって顔を青くした。

「えぇ、なにせ、一週間も目覚めなかったんですから」

「い、一週間!?」

全然自覚が無い。

「さ、一応検査は受けてもらいますよ。退院は、その様子なら明後日でも大丈夫そうですね」

「はぁ……」

「じゃぁ、検査の時間になったら呼びに来ますね」

そう言って、医師はロボットと共に病室を出て行く。

あたしはため息をついてベッドに倒れこんだ。



――俺じゃ、駄目か?――



その言葉がずっと頭から離れない。

「馬鹿レオめ……!」

一瞬だけ、それでいいかもと思った自分を殴りたい。

でも、誰だって抱きしめられてあんなこと言われたら思うだろう。

あたしはもう一度ため息をついた。