「あーくそっ」

家に帰って、レオは大学のレポートと格闘していた。

全く大学に出席していないので、課題やらで机が見えなくなっている。

レオは親に迷惑はかけまいと、親から遠く離れて一人暮らしをしていて、そこそこ新しいアパートに住んでいた。

「明日はさすがに大学行かねぇとヤベェかな」

レオ独り言を呟いた。

と、電話が鳴る。

レオはレポートの途中だったので、少しイラつきながら電話に出た。

「はいっ?」

口調も自然とキツくなる。

電話に出た瞬間に立体として映った姿に息を呑んだ。

「ろ、ロウンさんっ!?」

『あぁ、ごめん。忙しかったか?』

「いっ、いえっ! 全然っ!」

たまにバイトの様子に見に来ているので、レオはロウンの姿を見知っていた。

それだけでなく、よくテレビにも出るので何だか親近感を覚えている。

「よく分かりましたね、うちの番号」

『あぁ、電話の前にきちんとメモ書きしてあったから。で、うちの馬鹿娘を知らないか? 家に帰って来てないんだ』

「へっ!?」

『そっちにはいない……みたいだな』

「あ、はい、俺も捜してみます」

『ごめん、お願いするよ』

「はい、じゃあ、見つけたらまた連絡します。ロウンさんも、何か分かったら俺の携帯に連絡してくれますか」

『あぁ、携帯番号までちゃんとメモしてあるから』

ロウンは苦笑まじりの声を出しているが、少し表情が暗かった。

きっと心配しているのだろう。

「分かりました、それじゃまた」

レオはそう言って回線を切った。

それと共にロウンの姿が消える。

「あの馬鹿、どこ行ったんだ」

レオは顔をしかめる。

そして、とりあえずバッグを持って家を飛び出た。