「ただーいま」
あたしは店に一歩踏み出す。
すると、
「リンちゃん! 良かった! 生きてて……」
と、ライムはあたしの手を取って叫ぶ。
「え、は?」
「レオ! リンちゃん、生きてたっ!」
ライムはレジを担当していたレオに向かって言った。
レオはレジからこっち側を覗いて、
「10分もお客と何話してたんだ」
と、レオは無表情で聞いてくる。
あ、しまった。
年と日付だけしか変えなかったんだ。
ラウルと話していた時間を直すの忘れてた。
「い、色々……」
あたしは適当に返事をする。
そして、店に置いてあった花瓶にラウルから貰ったコウロウの花を生ける。
「その花は?」
「いちいち訊いてこないでよ。あたしが誰と何を話そうがレオには関係ないでしょうが」
あたしはレオを睨んだ。
しばらくレオと睨み合っている。
と、
「はいはい、ストップ! そこまで」
あたしとレオの間に店長が入って来る。
「全く、君たちは大人気ないねぇ……」
「ロアさん、こいつの給料半減してやって」
あたしはむっと口を出す。
「お客と10分も話し込んでたのはお前だろうが! 半減すんのはお前の方だっ」
「はいはい、じゃ、二人仲良く半減ね」
ロアは箒で掃除しながら軽くこう言った。
「「えぇー!」」
「これで僕のお給料はアップ!」
「「ロアさんっ!!」」
「……冗談だよ。本当に仲いいね、君たちは」
ロアは苦笑してあたしとレオを交互に見る。
「「っんなんじゃありませんっ!」」
「本当だ、仲良しだね」
ライムはくすくす笑う。あたしはレオにベッと舌を見せて離れた。