「お父さん、明日は?」

あたしは笑顔で、しかめっ面をしながら原稿用紙を見つめている父に問う。

「家」

父は一言答えただけだった。

「たまにはさぁー、公園にでも行ったら? 気分転換に。10時頃の公園は最高だと思うよぉ?」

と、お茶を父の横にそっと置く。

父はあたしを不思議そうに見つめていた。

「何が目的なんだよ」

「目的なんてないよ。ただ、10時頃に友達と出掛けるから……」

「あぁ、彼氏か」

何でもないような表情でさらっとこう言う父。

普通はさ、父親なら心配の一つはするもんなんじゃないんですかねぇ?

どこの誰とも知らない男に、一人娘を渡す訳にはいかんっ!

とか怒鳴ったり。

まぁ、あたしの父の場合そんなこと言う柄じゃないのは分かってるんだけど。

なんか、言われないと寂しい。

「うん、まぁそうなんだけど」

「分かった。久しぶりに外に出るか」

そう言って、クソオヤジは呑気に背伸びをする。

寂しいを超えて、なんか苛立ってきた。

「……買い物してくる」

あたしはすっと立ち上がって買い物に出かけた。