「きゃぁー、ラウル様ぁっ! こっち向いてぇっ!」
隣では女子高校生くらいの女の子が騒いでいた。
どこにでもいるような可愛らしい女子高校生。
「君たち、ラウルのこと、好き?」
気がつけばレオはその子たちに話しかけていた。
「……え、あ、勿論ですっ!」
一人の子が自身たっぷりに答える。
「俺、ラウルの友達なんだ。良かったら、あいつの家教えるよ」
悪いな、リン。
お前のためだ。
レオは身を斬る思いで、答えた一人の女の子にだけ教えた。
若干疑うような目つきで見られたが、レオは無視する。
「明日は、10時からラウルは出掛けていなくなっちまうから、なるべく早く行きなよ」
「あ、ありがとうございます」
女の子はそれでも一礼してレオから離れて行く。
これが吉と出るか凶と出るか。
レオはラウルに視線を戻した。
楽しげに笑っているラウルを申し訳なさげに見つめ、レオは公園を後にした。