「……風邪ですか」
リムは無表情であたしに問いかけてきた。
「わ、何だリムか。そうみたい。この前病院に行ったときは何でもないって言われたんだけど」
あたしは小首を傾げる。
「……ただの風邪ならまだ良かったかも知れませんね」
「え?」
「いいえ、独り言です。何か良いことがあったんですか? いつもより笑顔ですが……」
「え、あ、そう? リム、レオには内緒だよ。明日、ラウルと遊園地に行くの」
「……それは……良かったですね。何時頃に出掛けるんですか? 時間によって運は変わります」
「そうなの? 10時なんだけど」
リムは手で顎を触る。
何やら考えているようだった。
「……大丈夫です。その時間帯なら」
「そう、良かった」
あたしはほっと息をついた。
そして、リムは仕事に戻って行く。