メリア先生が帰ってなんだか寂しい雰囲気が漂う店内。
「おっはようございまーす!」
空気を読まないあたしは元気よく店内に入り込んだ。
「おはよ、なんかいいことあったの? 今日のリンちゃんはかなりご機嫌だけど」
ロアは常連客の花束をラッピングしている。
お客さんは「今日も元気ね」と、くすくす笑っていた。
あたしは恥ずかしくなって少し顔を赤く染める。
「ちょっと色んなことがあったんで」
それだけ言って、あたしはそそくさと仕事を始めるためにエプロンをした。
「リンちゃん、機嫌がいいね」
ライムはにやにやと笑いながらあたしに話かけてくる。
「分かるぅ?」
「ラウルさんと何かあった?」
ライムのその台詞にレオが一瞬反応したのは、きっと見間違いではないと思う。
厄介なことになるので、あたしはライムの耳元に口を近づけ、
「明日、ラウルと遊園地行くの」
と、小さな声で囁いた。
「えぇー、いいなー!」
ライムは本当に羨ましそうにあたしを見ていた。
レオは花の世話をしながらも、こっちに聞き耳を立てている。
丸分かりだ。
「すっごい楽しみ。あ、ありがとうございましたぁー!」
あたしは店を後にするさっきのお客さんに一礼した。
と、突然咳が込み上げてくる。