「さぁーて。今日の晩御飯は何にしよっかなぁー」

あたしはこんな台詞を言いながら、どうやってラウルの家に行こうか迷っていた。

やはり、父が眠った後の夜中か。

「リクエストは?」

あたしは横目で父を見つめた。

「お任せで」

父は煎餅に噛り付きながら筆を進ませる。

あたしはキッチンに向かって冷蔵庫を覗いた。

「野菜が大量的にあるから、野菜炒めにしよう」

そして、早速あたしは鼻歌なんぞ歌いながら料理に取り掛かった。

この時、あたしはまだ知らずにいた。

悲劇が一刻いっこくと近づいて来ていることを。