シートベルトをして、あたしは注文があった年と日付を設定した。

「何か怖いなぁ……」

ふと、リムの言葉が脳裏に浮かぶ。

誕生日なのに死ぬなんて絶対嫌だぞ、あたしはっ!

かと言って、今更レオについて来てくれなんて言えないし……。

「えぇーい! 自棄だっ! 事故でもなんでも起きちゃえ!」

あたしは叫んでタイムマシーンを出発させた。

いつもより慎重に運転する。

これで、本当に事故りでもしたらシャレんなんないっ。

リムを恨んでやるぅ!

そうこう思ってるうちに、あたしは無事23年前の夜20時に着いた。

タイムマシーンの前にはアパートのような家が建っている。

「なんとか到着……ラウルさんの家はぁっと……ここかな」

表札の出ていない扉。

あたしはベルを押した。

『はい、ちょっと待って』

と、インターホンから若い男の声が聞こえて来る。

直ぐにその声の主は扉を開けて現れた。

男は多分二十代前半。

水星人で、汚れない水色の瞳があたしを見つめていた。

思わず見惚れてしまうほどかっこいい……。