「何だ、そうだったの。あたし、てっきりリンちゃんが知らない男の人と、旅行に行ったのかと思っちゃった」

それはばっちり正解しているのだが、そんなこと言ったら今度こそロアが殺されると思ったので、あたしは黙っていた。

「だから知らないって言っただろうが」

ロアはため息をつく。

「あ、お土産買ってきたから皆で食べてください」

あたしはにっこりと笑って、レジにハウワイのお菓子を置いた。

「わぁい」

メリアはロアを放してお菓子をもらう。

あたしはこっそりとロアに近づき、

「グッドタイミングでしたね」

と、耳打ちした。

「もう少し早くても良かったよ」

「……色々とすいません。唇まで奪われちゃったみたいで」

「慣れてるからいいけどさ」

今のロアの台詞を軽く無視して、あたしはもう一つのお土産をロアに渡した。

「お詫びです。キーホルダですけど」

「あぁ、ありがと」

ロアはにっこりと笑いながらそれを受け取った。

「楽しかったか?」

と、皮肉をこめてあたしに耳打ちするレオ。

「うん、まぁ」

いや、正直かなり。

「ごめん、レオ」

「別に。……で、何もなかったんだよな?」

レオは半眼であたしを見つめる。

「……何想像してんの」

あたしは半眼で見つめ返してやった。

と、再びレオに頭を殴られる。

「だから痛いってぇ!」

あたしは頭をさする。

「お前は、本当におめでたいな」

そう言ったレオの表情が、いつもより暗く見えたのは気のせいだろうか。

あたしはそのレオを見つめるリムには気づいていなかった。