「ねぇ、早く終わったって事は明日帰るってこと?」

あたしは椎茸を口に入れ、ラウルに問う。

あ、この椎茸まだ味が滲みてない。

やっぱ煮物は次の日が一番美味しいんだな。

「そうね、でももう一泊くらいしていけば?」

フィルシアはたけのこをつまむ。

「あー、悪い。明日からまた別の仕事が入ってるんだ。遊んでから、タイムマシーンでその日に戻って仕事するってのもありかも知れねぇけど、それがバレると下手すりゃクビだからな……あ、この煮物思ったより美味い」

「へん、誰かに謝るべきじゃなぁい?」

フィルシアはえっへんとえばる。

「悪いな、リン。遊べなくて」

「そこじゃないでしょうがっ!」

フィルシアはぎろりとラウルを睨んだ。

あたしは苦笑しながら気にしてないと首を横に振る。

忙しいのは皆同じなんだ。

あたしだってもう帰らないと、さすがに何日もここにはいられない。

ロアやレオのことも気になるし。

第一、タイムマシーンには履歴が残るのだ。

何年何月何日、何時間何分何秒この場所にいたってことが。

あたしはフィルシアのタイムマシーンで来てるから、問題ないと思うけどラウルはこの時間の人間だ。

この時間の中で遊んで、その後日本に帰ってからタイムマシーンで元の時間に戻るってのはバレる危険性大だな。

……どうでもいいけど、説明してる自分でもこの説明が分からなくなってくる。

時間というのはややこしくて嫌だ。

「じゃ、明日早めにこのホテルを出ないとね」

「あぁ」

食べ終わったら荷物まとめなくちゃ。

あたしは散らかり放題になった自分の荷物を半眼で見つめた。