「……はい、えっと……ラウル様ですね! 直ぐにお届けに行きますので! ……はい、失礼いたします」
あたしはそっと電話を切った。
「23年前のラウル様からコウロウの花束だって。ちょっと行って来るね」
あたしはカードをバッグにしまい、荷物置き場にほおった。
そして、急いでエプロンをしてコウロウの花束を作る。
「あ、リンちゃん……気をつけてね」
ライムは心配そうにあたしを見つめる。
「え? うん、タイムマシーンなら使い慣れてるから大丈夫だけど?」
「リン、俺ついて行こうか?」
レオまで心配そうにあたしを見つめていた。
なんか、気持ち悪い。
「何よ、平気だってば! じゃあね!」
あたしは走ってタイムマシーンを止めてある所に行こうとする。
と、
「……リンさん」
後ろからリムがあたしを呼び止めた。
「ん、何?」
「……あなたにとって、今日が幸せな日になりますように……」
リムはそう言って深々と一礼した。
「あ、ありがとう」
あたしはひきつった笑みを浮かべ、店を出た。
もしかしたら、無事にまたここに戻れないかもな……。
あたしはため息をついた。