他愛ない会話から、ボクたちは、これからの目標とかを熱く語り合った。

お酒ではなくコーヒーで。

野望と言ったら大げさだけど…。

「優はさ、好きな人とかいないの?」ふとボクはそんなことを聞いた。

「俺ね〜1、仕事2、順也さんなんだよね。だから今の所、女性とか恋愛には興味ないんだよね」と優は言った。

仕事の次にボク…?少し意味がわからない。

けど…熱は伝わってくる。

「夢はある?」とボクが聞くと、

「REIYARをもっと売り込むこと!そして、近いうち独立する。今はその準備をしてる。そこのメインをREIYARと姉ちゃんにしたいなぁと」と優は言った。

「ほんとに?独立とか考えてんの?」とボクが言うと、

「マジな話ね!姉ちゃんにもその時はうちのタレントとして契約してほしいって話つけてるから!」と優が言うもんだから本気なんだと言うことは感じた。

ボクは優に恥じないようにもっと頑張ろうと思った。たくさん起用してもらえるように。

「順也さんは?」と聞かれて、

「ボクはもっと売れてモテたいかな?ゆくゆくはありさちゃんと一緒になりたい」とボクが言うと、

「うん。俺も頑張るから一緒に頑張ろう!」優はそう言ってくれた。

ボクは頷いた。

盛り上がってた時、ボクのスマホがなった。ディスプレイにはお姉ちゃんの表示が出ていた。

出るかどうしようか悩んでると、

「出ていいんだよ?」と優は言った。

「お姉ちゃんなんだけど?」とボクが言うと、

「何?俺に出てほしいって?」と優は笑う。

とりあえずボクは電話に出た。

「もしもし」とボクが言うと、

「どこにいるのよ!家に行ったらいなかったじゃない!」と叫ぶような悲鳴に近い声が聞こえた。

「何かあったの?」とボクは言うと、

「何呑気なこと言ってるのよ!話したいことたくさんあるのよ!」とまた悲鳴に近い声が聞こえた。

ボクは耐えられず耳元から手を離した。

それを奪うように「変わって」と優は言ったので、ボクは優にスマホを渡した。

「晴香さん、お久しぶりです。優です」と優は言う。

「なんであなたがかわるのよ!てか、なんでいるのよ!」とお姉ちゃんの声が聞こえた。

「晴香さん、何があったんですか、少し落ち着きましょうか」と優は宥めるように優しく言った。

優は説得を続けるように優しく話を聞いてくれて、お姉ちゃんは少し落ち着いたみたい。

「順也は何してるの!」とお姉ちゃんの声が聞こえた。

「休暇中です。仕事も、自分磨きも頑張っているので!2、3日、ウチの別荘でゆっくりしようと思ってます」と優が言うと、

「そうなのね。早めに帰ってきてね!」とお姉ちゃんの声が聞こえて、はーいとボクは返事しておいた。

電話を切ったあと、詳しい話を優から聞いた。

どうやら、雪弥さんの様子がおかしいと気になって気が気じゃないとのこと。

若くてキレイな女性と2人でレストランに入っていく所を目撃してしまい、情緒不安定になってて、仕事も、はかどらないとのことだった。

優のうまいなだめ方で、お姉ちゃんの心が少し落ち着いていたのはわかる。

喧嘩したわけじゃなくてとりあえず良かったと思いながらも、あんなに取り乱してるお姉ちゃんは初めてで。

若い女性と歩いてるなんて過去にもあったはず。けど…いつも余裕があって、お互いに思い合ってるのが伝わってきて、こんなこと初めてで…なんかとても新鮮だった。

「思い当たるフシ無いの?」と優は聞いてきた。

思い当たるフシ…?

そんなのあるわけない。けど…雪弥さんが浮気しているとも思えない。

だってどう見ても、雪弥さん、お姉ちゃんしか見えてない感じなんだもん。

何か理由あるはず!

「帰ったら、優はお姉ちゃんから話聞いてあげて。ボクは雪弥さんと話して見るから!」とボクが言うと、納得してくれた。

「じゃあ手土産持って2人で晴香さんのとこ行きましょう!2人で話聞いてあげよう?」と優は言った。

ボクは頷く。

「けど…とりあえずは今を楽しみましょう!」と優は言った。

夜も老けきって幻想的な空間に充分浸ったボクたちは寝ることにした。

中に戻ったボクたちは部屋着に着替えて…寝室に入った。

キレイにメイキングされたベットが2つ。

早いもの勝ちでボクは奥を取った。

「なんか修学旅行思い出すね〜友達とベット取り合いとか…懐かしい」とボクが目を細めると。

「…順也さんはその時、何人部屋で取り合ったんですか?」と優は聞いてくる。

「ボクはねぇ…4人部屋だったよ!その時、REIYARメンバーとの親睦を深めたんだ。そして、卒業しても今の関係が続くといいよねって話して…それが現実になってるんだから凄いと思うよ」とボクは言った。

「へえ…そう言うのいいよね」と優は相槌をうってくれた。

「優は?修学旅行の思い出とかある?」とボクが聞くと…

「俺は…修学旅行以前に学生の頃の思い出なんてほとんどない。学校ちゃんと行ってたのかさえ怪しい…」と優は言うのだった。

どゆうことなんだろう。記憶に残らないほど退屈で窮屈だったのかな?

それはそれで少し寂しいような…。

「部活は?」とボクは聞いた。

「さぁ?記憶ないね〜。参加した記憶が…」と優は言う。

けど…それ以上聞くなって感じでもなくて…本心で言ってるような気がした。

そしてボクが次に質問したのは…

「私立だったの?」だった。

「まぁね。私立だったね…有数の進学校で文武両道で有名だったよ」と返事は返ってきた。

そっか…

確かに窮屈そう。ボクはみんなと毎日バカ騒いで、よく先生にも怒られたりしてたなぁ。

「友達はいたんでしょ?」と言うと、

「それなりにツルンでたけど…ダチだったかといえば難しい…そんな関係だったよ。まぁ、それでも充分だった。俺には相手してくれる順也さんがいてくれたし、REIYARのみんな俺のこと優しく絡んでくれてたしね」と優は言った。

なんか少しせつない気持ちになった。

優の意外すぎる過去を聞いた気がして。

だからなのか?優はいつもそばにいてくれるのは。

交友関係もかなり広いと思ってたけど…実はそうじゃなくて、ビジネス関係が多いの?

けど…それを聞く勇気はボクには無いので聞くのをやめた。

「明日は何する?」と話を変えるように空気を読んだのか、優は言い出した。

明日と言ってももう日はとうにまたいでる。

「とりあえず…昼まで寝てそれから考えない?」とボクが言うと。

「まぁ、そうだね。ゆっくり休んでね!おやすみなさい」と優は言ってくれた。

おやすみなさいと返してボクも目を閉じた。

翌日?目を覚ましたのは、お昼だった。

優はすでに起きて、パソコンをしていた。

起きたボクに気づいた優は

「おはようございます!ゆっくり眠れましたか?」と声をかけてくれた。

「んー、ありがとう!優もちゃんと眠れた?」とボクが聞くと、優はニッコリ笑った。

くっ、まっ…眩しい…笑顔が眩しすぎる!

笑ってごまかす気?

ボクはそれ以上の言葉は口にしなかった。