蘭君の冷たい言葉も、今の私には届かなくて。




ーーーカランと、鉄パイプを地面に落とした男は、真っ青な顔のまま、ただちに逃げようとした、が。


すぐに数名の男達に取り押さえられて、真っ暗な茂みの奥の奥へと連れていかれた。




これからあの男がどうなるかは分からないけど。


ただでは済まされないと思う。



だって、こんなに大勢の暴走族が居る中で蘭君が狙われるなんて...。



それは、蘭君の族での立ち位置がスゴいことを証明している。




「...なに泣いてんだよ」


蘭君の人差し指が、私の溜まりに溜まった涙を拭う。



「だって...怖かったんだもん...」


「怖いくせに助けてんじゃねえよバカが」


「知らないよそんなの...助けたくて助けようとしてなにが悪いの、蘭君のバカ」


「...生意気」