「彩羽...どうしたの?そんな暗い顔して」
なかなかその場から離れようとしない私を心配して、光花が顔を覗きこんでくる。
こんな暗い自分、光花には見せたくなかった。
私のせいで光花まで暗くなっちゃった...どうしよう。
「ねえ彩羽。
あの日、カラオケの帰り。
私だけ先に帰っちゃったけど、もしかしてあの店員となにかあったの?」
さすが光花、勘がいい。
でも私は「なんも...ないよ」と、俯きながらあからさまに嘘をつく。
蘭君のこと、これ以上誰にも知られたくない。
光花にだって知られたくない。
光花が蘭君に興味無いことくらい分かってるのに...
勝手な独占欲を抱いて、光花に嫉妬してる。
だってもし光花が蘭君と関わりを持ってしまったら
私に...勝ち目なんかないもん。