*
「ねえ彩羽!!この後暇ー?」
青空がオレンジ色に変わる瞬間と一緒にやってきた放課後。
私は机の中から教科書を出して鞄に詰めていると
光花に「遊ぼう!」と誘われた。
「う、うん。いいけど。
あの街には行かないよね...?」
「あの街って?」
「えーっと...前にカラオケで色々あったでしょ?」
「あー!あそこの近くには行かないわよ!
今日は別よ別!
たまには彩羽とショッピングでもしようかなって」
よかった...
バッタリ蘭君と顔合わせたら大変なことになるもんね。
光花には蘭君のこと、一言も喋ってないし。
「私...お金持ってないよ?」
「私が持ってるから大丈夫!!
彩羽に似合う服選んであげるー!!」
「ええ!!いいよ悪いよそんなの!!」
「大丈夫大丈夫!!
最近パパからお小遣いもらったからパーッとね!!」
「...」
「ほんとに気にしないでよー!
私が彩羽に買いたくて買うんだから」
「...うん...」
なんだか悪い気はするけど
遠慮するなって押し切られるだけなんだよね...こういう時の光花には。
光花のお父さんは社長でお金持ちで、ものすごく光花に甘い。
うちとは正反対の光花の家。
私はそれが...ちょこっとだけ羨ましかったりするんだ...。