こんな暗い中で、蘭君の何気ないため息はものすごく大きく聞こえて、私を余計不安にさせる。




「ブレーカー見てくる」


「ちょっ蘭君!1人にしないで!!」



こんな暗い中、女の子を1人にさせるなんて蘭君ひどすぎる!!



人間って不思議。

真っ暗で姿が見えなくても、相手がどこに居るかだいたい分かっちゃって。

私も蘭君について行こうと足を一歩前に出すと...



「うわっ!!!!」



さすがにモノの位置までは分からない。


足の指になにかが引っかかっちゃって転びそうになった...



けど。



ーーーポスっ。と。

なにか温かいモノに包まれて。


風呂上がりの私の体には...その温かさが身に染みる。





「ーーーたくっ、お前ってほんと世話が焼ける」


「らっ、らんくん」


「暗いんだから動くな、迷惑だ」



抱きしめながらきつい言葉を浴びせられて、瞬間的に涙がこみ上げてきた。




「だって...1人なんて心細いよ...」





もし蘭君が戻ってこなくて、それで電気だってつかなかったらって考えると


すっごくすっごく怖くて...



わたし、そんなの耐えられない...。