「おい」
「うひゃっ!!?」
突然後ろから肩を叩かれて、思わず変な声が出た。
恥ずかしくてすぐに手で口を押さえたけど...
これじゃあ意識してるってバレバレだよ...。
「なに変な声出してんだよ、お前」
「だっ...だって、蘭君が突然肩を叩くから...」
「んな驚かなくてもいいだろ?
つかお前、親に電話したのかよ」
「へっ?」
「連絡もなしに男の家に泊まるとか、親に誤解されるぞ?」
「あっ...お母さん私の学校の時間まで家に帰ってこないから。多分大丈夫だと思う」
「...。
そこにドライヤー置いてあるから髪乾かせよ」
言いながら、私の濡れた髪の毛を触る蘭君。
ぽたぽたと、髪の先から滑るように落ちていく雫が、蘭君の手を濡らした。
「あっ!!ドライヤー借りるね!!ありがとっ」
その手から逃げるように、蘭君から離れた。
ドキドキと。心臓が鈍い音ばっかりを重ねて、すっごく痛い。
蘭君ってば意味わかんない...。
言葉が冷たくて、態度だってどこかそっけなくて。
なのに。
簡単に触れてくるし...
雨がひどいからって、普通こんな簡単に女の子を家に泊める!?
蘭君ってほんと...意味がわからない。