どうしよう...


このまま帰ったら確実に風邪引いちゃいそうだし...。



「お前、この土砂降りの中帰るつもりなのか?」


「へっ?」



後ろから聞こえてきた蘭君の声に反応して、間を感じさせないほど、すぐに振り返った。



蘭君は開けっ放しの玄関のドアから空を見つめ、ため息を吐く。




「無理だな、諦めろ」


「傘...貸してくれないかな?」


「んなもん、ねえよ。」


「...」


「泊まってけ」


「ーーーえっ?」


「だから泊まってけつってんだ。
2回も言わすな」



そう言い終わると、蘭君は不満そうに舌打ちしながら、私の頭を軽く叩いてきた。



「い...いいの!?」



リビングに進む蘭君の背中を追っかけながら聞くと。



「1回泊めてんだ。2回も大して変わらねえよ」



なんて。



やっぱりどこか、不満そうな蘭君に言われて、思わずリビングのドア前で立ち止まる。