言葉は乱暴だけど、蘭君にとっては精一杯の素直さだと思う｡



なんだか頼られている様な気がして浮かれてしまった｡



...でも｡




「もう...蘭君ってば、救急箱ないじゃん」



部屋中探しても見つからない救急箱｡


「そんなもん俺の家にねーよ」と言われた｡

探す前に言ってほしかった...時間の無駄だよ｡



これじゃあ傷の手当てなんて、まともに出来ない。


仕方がないから水につけて絞ったタオルで傷口を拭いて、いつも持ち歩いている絆創膏を鞄の中から出して蘭君に貼った｡



「絆創膏とか、お前ダサすぎだろ」



文句を言いながら早速剥がそうとする蘭君の手を軽く叩く｡



「もう蘭君ってばいい加減にしてよ。
こっちは本気で心配してるんだから、1日くらい我慢しなさい」


「...なにが＂しなさい＂だよ｡
年上ぶってんじゃねーよ、同い年だろ」


「別に年上ぶってないよ。蘭君が子供すぎるんだよ」



「...言うじゃねーか」