いっちょ前に彼を助けたのはいいけど...
私はこれからなにをすればいいのか。
看病って言ったって。
人様の家の物を勝手に使うわけにもいかないし。
目線を彼だけに集中させる。
綺麗な蘭君の顔に思わず顔が赤く染まる。
見つめたら触れたくなる
でも触れたら最後...息もできないくらい、彼に"全部"が奪われてしまいそうで...。
「...っ...」
そっと目を開ける蘭君。
驚きながらも、無意識に蘭君の頬に自分の手を当てていた。
広がった傷口を...そっと撫でたら、指についた血が不自然に私を魅了したんだ。
「...なぜ、お前がここに居る」
ベッドから体を乱暴に起こす蘭君。
ポトリと雫となって落ちていく血がベッドの色と同化していく。