風原は帰ったのだろう。



「瑞乃。」



上から声がした。



「和葉・・・。」



「あのさ、こんなことがあってすぐだけど・・・、俺は、お前が好きだ。」



そう言われた。



この手を取ったら、あたしは前を向けるのかな。



でも、あたしはその手を取らなかった。



「今は、まだ風原が好き。」



「・・・うん。」



和葉は、傷ついた顔をした。