みいの父親は、みいのことが大好きだ。

だから少しお願いすればなんでも買ってくれるらしいし、お小遣いもくれるらしい。

お母さんに、月に一度お小遣いをもらっているらしいが、

こうして大きな出費があったときにはお父さんにお願いしてお母さんに内緒でお小遣いをもらうらしい。

初めてこの話を聞いたとき、わたしもそんな父親のもとに生まれたかったと思った。

決して嫌な父親ではないが、足りないからと言って普段より多くのお小遣いをくれるだなんてことはしてくれない。

高身長を分けてくれなかったのだからこれくらいしてくれてもいいだろうと思っている。


「よしっ、じゃあ……帰ろうか」

「うん」

自転車にまたがると、わたしは大通りのほうへ、みいは裏道のほうへハンドルを向けた。

「そっちから帰るの?」と尋ねると、「こっちのほうが近いの」と返ってきた。

「そうなんだ」

気をつけてね、と手を振ると、里香もね、と笑顔が返ってきた。