乗りにくい自転車を30分ちょっと漕ぎ、服屋に辿り着いた。
店の裏にある駐輪スペースに行くと、みいが店の壁に寄り掛かってわたしの大好きな乳酸菌飲料を飲んでいた。
「おつかれ。ごめんね、急に」
「全然。それより、服を買いたいだなんて、あれでしょ、カケルとのデート服でしょ?」
「あら、そう思う?」
みいは怪しく口角を上げると、ペットボトルの蓋を閉めた。
斜めに掛けているひまわりをモチーフとした黄色いショルダーバッグにしまう。
「さっ、行こ行こっ」
さっさと歩き出すみいを追いかけ、隣につくと、「なにか値下げされたのあるかな?」と特に意味もなく発した。
「おにぎりの絵が描いてあるTシャツとかあればいいのにね」
里香超絶似合いそう、と笑うみいに、「きっと部屋着行きだけどね」と笑い返した。