「あたし、あの中じゃゆかぽんが一番好きなのに……」
「そう? わたしひーちゃんが好きかな」
「へえ、なんか意外。ああいうお馬鹿キャラだと、自分を見てるようで嫌とか言いそうなのに」
「いや、わたしひーちゃんほどお馬鹿じゃないよ?」
わたしが笑って言うと、みいはなぜか「ごめん」と言った。
「あたし、テレビでひーちゃん見てると、たまに里香なんじゃないかと思っちゃってる」
「嘘でしょ? わたしってあんな?」
あんな、とみいが頷いたとき、
「チョコとバナナの小さなパフェ」と「フルーツとクリームの贅沢パフェ」が運ばれてきた。
30代くらいに見える男性店員を会釈して見送り、
「わたし、絶対ひーちゃんよりはましだと思ってたのに」と唇を突き出した。
みいは噴き出すように笑い、「そういう顔とかそっくりだよ?」とわたしを指さす。
「ちょっと待って、ひーちゃん人気だしわたしもかわいいと思うし、
顔が似てるって言われるのも嬉しくないことはないんだけど……
わたしって10以上も歳の離れてる人に顔が似てるの?」
自分の顔を指さしみいに尋ねると、「ひーちゃんいくつだっけ?」と返ってきた。
「30前」と瞬時に返すと、みいは「あっ……」となんとも言えない表情を浮かべた。
「わたし、老けてる?」
「そんなことないと思うよ? むしろ幼く見えると思う」
大丈夫大丈夫、と続け、みいはさっさと「フルーツとクリームの贅沢パフェ」に手を付けた。