いつもの笑顔を取り戻したみいとメニューを眺め、

わたしは「チョコとバナナの小さなパフェ」を、みいは「フルーツとクリームの贅沢パフェ」を注文した。


携帯を眺めていたみいが「えっ?」と声を上げる。

おったまげたなあ、と無意識の言葉をこぼし、「なに?」と返す。

「さっち結婚だってさ」


さっちとは、4人組の女性ダンスユニットのメンバーだ。

年齢は24歳。


「ああ、10歳年下だっけ? 確か一般男性」

「そうそう。えっ、知ってた?」

「今朝テレビでやってた。歯医者じゃ芸能人なんかと結婚しなくたってお金はあるだろうにね」

「歯医者なの?」

「今朝のテレビではそう言ってたはずだよ?」

「ふうん……」

「いいよね、どいつもこいつも楽しそうで」

「どいつもこいつもって、他にも誰か結婚したの?」

みいの驚いたような声に、「ひーちゃんもじゃなかった?」と返す。

「里香ったら、芸能人の結婚に詳しいのねえ……」

「まあね。未だ3年前の失恋から立ち直ってないから」

みいは反応に困るといった様子で笑い、

「てことはあのグループ、結婚してないのゆかぽんだけって感じ?」と話を戻した。