5月の最終日、みいは昼食中にため息をついた。

餃子むすびを手に「どうした?」と問うと、「あたしさあ……」とため息のような声が返ってきた。

「翔ちゃんに飽きられないか心配なんだよね」

「え……?」

「昨日会って聞いたんだけど、翔ちゃん飽きっぽいらしいんだよね……」

「あ、そうなんだ……」


3年経った今も忘れられないせいか、翔という名前と飽きっぽい性格からカケルしか浮かばない。


「どうしよう……」

「……べ、べつに、そんなに気にしなくたって大丈夫だよ。みいの真似をするわけじゃないけど、みいかわいいもん。美人系。

みいほどの美人になら飽きないよ、その……翔ちゃんも」

一言発する度にカケルの存在が大きくなるのを感じながら言い切ると、

みいは「そうかなあ……」と不安げな声を出した。

「大丈夫だよ。もしあれなら、飽きられる前にみいから振っちゃえばいいじゃん」

「でも……。あたしは翔ちゃんのこと好きだもん」

「ああ……。とにかく、そんなに気にすることないよ。まだ飽きられたと決まったわけじゃないでしょ?」

大丈夫大丈夫、ご飯食べて元気出して、と食事の再開を促し、わたしは餃子むすびを頬張った。