「そうだ里香、キウイ好き?」
スプーンを咥え、上目遣いに見てくるみいに「好きだよ」と頷く。
「でも……きゅうりのほうが好きかな」
ダジャレというマイブームをぶっこんだあと、静止と静寂で数秒もの時間が流れた。
「どうした?」ととぼけると、「どっちがだよ」という言葉のあとに目を逸らされた。
「キウイあげる」と皿の空いたスペースに輪切りのキウイが積み上げられていく。
「ありがとう」と言ってそれを眺めていると、計5枚ほどのキウイが積み上げられた。
「みい、キウイ嫌いなの?」
小洒落た入れ物からフォークを取り出しながら尋ねる。
「いや? 大嫌いではないけど、どちらかといえば嫌いって感じ」
「そうなんだ」
「『んはあっ、超甘い、幸せえ』って感じにはならないじゃん?」
「ああ……そうかもね」
「だから」
「なるほど」
いただきますと言ってから1枚のキウイを口に納めると、少し懐かしいような味がした。
キウイなど、最後に食べたのはいつ頃だっただろうか。