「ねえ里香、今日はご飯どうするの?」

キッチンから身長160センチの母親に投げられた問いに、わたしは「いいかなあ」と返してソファに座った。

「あれだけ食べるのだけは好きだった子がねえ……」とわざとらしく言われ、

「今はへこんどんのじゃ」とこちらも相手に聞こえるように独り言を漏らす。


「胸は平らで済んでよかったな」

「はあ?」

今この瞬間にもし、弟を愛するご近所さんがいたら、わたしは間違いなくほらと叫んでいる。

やはり弟の性格は最悪だろうと。

「うるっさいクソガキ。

高校生の貧乳を馬鹿にするんじゃないわよ。つうかあんた、それ絶対わたし以外の女子に言うんじゃないよ?

そして。姉の貧乳嘲笑っていやがる暇があったら勉強しやがれ、成績極悪マイブラザー」

「はあ? 俺、里香よりは勉強できるはずなんだけど」

「いやいやあんた、なに言っちゃってんの? わたし高校生よ? 結構ハイなレベルの高校に、まあ……ギリッギリで通う」

わたしの反論に、弟は「ギリッギリ……」と嘲笑した。

わざとらしく口元を手で押さえ、肩を震わせている。