そんな弟を、ご近所さんは
「会うといつも笑顔で挨拶してくれて――」とか
「本当にかわいい顔してるよねえ、将来はイケメンさんだねえ」とか
挙げ句の果てには「あんな素直で純粋な息子が欲しかったわあ」などと言う。
わたしはもちろん、「いやいや、いいように見すぎですから」と反論している。
顔は、わたしが小学生の頃から多くの人が美人だと言ってくれている母親に似ているため
客観的に見ればもしかしたら悪くはないのかもしれないが、
性格には素直さも純粋さも1ミリも含まれてなどいやしないし、
ご近所さんに会って挨拶をするのは当たり前のことである。
仮にあの最低最悪な性格を持った上、ご近所さんに挨拶もできないとなれば、
わたしは彼を弟とは呼んでいない。