「……そうだ。もしもさ、わたしより好きだっていう女の子に振られたらさ、またわたしのところに戻ってきてもいいんだよ?」

頬を濡らす涙を拭いながら言うと、カケルは「その頃にお前を覚えてたらな」と言った。

「絶対、わたしが忘れさせない。

そして女の子に振られたカケルにわたしのところに戻ってきてもらって、

そのとき、カケルよりずっと、ずっとずっといい彼氏を捕まえたわたしが振るの」

わたしが理想を並べると、カケルは鼻で笑った。

「俺が女に振られることもねえが、それ以上に俺よりいい男なんかいねえから」

まあ精々頑張れ、とわたしの頭を大きな手で撫でると、カケルは悪い笑みを残して階段をおりていった。