「まっ、あの遠山くんが戻ってくるとは思ってないほうがいいよ?」
「えっ、まさかゆう、今翔と付き合ってるの?」
あいつの彼女はどれだけわたしの身近な人がなるのだと思い、つい尋ねた。
ゆうは「ううん」と首を振る。
「あたし、恋愛に興味ないからさ」
ゆうの言葉に、わたしは「うわあ」とわかりやすく嫌な顔をした。
「モテる人こそそういうこと言いやがるんだよねえ」
ゆうはわたしの言葉を、「べつにモテはしないけど」と嬉しそうな笑顔で否定した。
「ただなんとなく、遠山くんは負けず嫌いっぽいから、自分で振った女の子のところに戻ってくるなんてかっこ悪いことはしないだろうなって思っただけ」
まあ里香としてはあの完璧な素敵男子を自慢したいところだろうけどね、と笑い、ゆうは
「じゃあ、家族待たせてるからごめんね」と手を振った。
「じゃあね、気をつけてね」とわたしも手を振り返す。
「また暇なときにでも連絡ちょうだい」
ゆうは「はーい」と言いながらもう一度手を振り、レジへ向かった。