「ええ……でもさ、これをも満たすほど買う? 本」

「早いじゃん、いざ買い始めると。今だっていくつか欲しいのあるくらいだし」

「すごいねえ……。

わたしなんか、本を読まなすぎて持ってる全部の本を邪魔だと感じることなく持ち歩けるくらいだよ」

わたしが言うと、薫くんは「それはそれですごいね」と笑った。

「邪魔だと感じることなく持ってる全ての本を持ち歩けるって」

「たぶん、小学校高学年くらいの頃から増えてないと思う」

「ちなみに本が増えてた頃ってどんな本読んでたの?」

「普通の小説かな。小学校低学年とかの頃は、児童小説……児童文学っていうのかな。そういうのも読んでたけど」

「ふうん。それが今は……?」

「授業中の教科書と、放課後とか休日の宿題だけよ。印刷された文字を読むの」

そのおかげか視力は両眼1.5よ、と唯一自慢できるところを親指を立てて自慢した。

「逆にすごいよなあ。たまにさ、無性に文字を読みたくなるときってない?」

薫くんの変態感が漂う質問に、「ない」と瞬時に返す。

薫くんの質問に対してこの感覚を覚えたのは、数字を見ていると癒やされないかと訊かれたとき以来だ。