「ネタバラシはどうした?」
薫くんが言った。
「ネタバラシはね、弟のほうから持っていってくれた。
『こんなのもらって喜ぶのめっちゃピュアなやつだけだろ』って。
だからその流れで、あんた自分が1番ピュアで広い心を持ってるって言ってたでしょっつって」
薫くんに付き合ってもらった写真を見せつけてね、とわたしは親指を立てた。
「で、お箸だけだと不満気だったから、ジンベエザメが描いてある靴下もあげたの。
そしたらそっちは結構気に入ったみたいで、今日友達の家に行くのにそれ履いてた」
わたしが「うけるよね」と笑うと、「我が家でも似た現象が起こってる」と薫くんは言った。
「渡した日は『なんでこんなもの……』みたいなこと言ってたけど、その次の日から俺が買ってきた箸使ってるの」
「へえ」
少し間を空けて、わたしは「なんでだろう」と続けた。
「人様の家族がやってることとして聞くと、自分の家で起こったことと似てても面白いと思える」
「ああ、それちょっとわかる。俺も、里香の弟くんの靴下の話かわいいと思えたもん」
わかるわかると笑顔で頷いてくれる薫くんにつられ、わたしも笑った。