荷物を持ってもらっているのが申し訳なく、薫くんとは別れられる1番最初のところで別れた。

この道が近道なのだと言うと、薫くんは疑わずに頷き、持っていてくれた荷物をわたしに返した。

実際、もう1つ先のところで別れてもほとんど距離の変わらない道を、

オレンジ色の地面に浮かぶ 自分の淡い影を追って歩いた。


玄関前に荷物をすべて置き、バッグの中にいるはずの鍵を探していると、

砂利を踏む音や玄関前に荷物を置いた音に反応したのか、弟が扉を開けてくれた。


「あら、珍しく優しいんじゃない?」

「べつに。お土産、なに買ってきてくれたの」

「ああ、ただお土産が楽しみすぎちゃっただけね。中に入ったらあげる」

わたしが言うと、弟は「べつに楽しみじゃねえし」と呟き、

大量の荷物とわたしを置いて中へ戻った。

「やっぱり全然優しくない」と独り言を発し、

わたしは荷物を身にまとうようにして持ち、扉にぶつかりながら中に入った。