クラゲの近くにいた小さく綺麗な魚を眺めていて聞こえた放送に誘われ、わたしたちはイルカショーを観ることにした。

ショーが行われる場所まで近かったこともあり、ちょうどいい席に着くことができた。


わたしたちが席に着いた頃は空席が目立っていた会場も、薫くんとぽつぽつと話しているうちに満席状態となった。

辺りを見回し、「結構くるんだね」と薫くんと言葉を交わすと、ショーが始まった。

イルカはプールを何周かおよぐと、スタッフの指示に従って高く飛んだ。

助走をつけるように再び何周かおよぐと、今度は高い位置にある青いボールに触れた。


「かわいいー」

頑張るイルカたちに癒やされていると、数名のスタッフがプールの中へ飛び込んだ。

みんな飛び込みのフォームめっちゃ綺麗なんだけど、と思っていると、イルカの頭に乗ったスタッフが水しぶきとともに現れた。

笑顔でこちらに手を振る彼らに、周りの観客とともに全力で手を振り返す。

少ししてスタッフがプールから上がると、イルカたちは観客に向かって大量の水をかけ始めた。

会場が一瞬にして賑わいを増す。