「でしょでしょ? かわいいよね? なのにさあ、そのガキ、変とか言うんだよ?」
「だって里香、普段そんな落ち着いた色の服着ねえじゃん。いつもわっちゃわっちゃした色のばっかで」
「うっさいクソガキ。一言余計なのよ、一言。いっつもいっつもね」
「気の強い姉を持つとそれに負けじとこっちの性格もひん曲がるんだよ。なにを言われても言い返せるようにとな」
「ほんっとムカつく。あんた、そんなんじゃ絶対彼女とかできないわよ?」
「べつにいいしーっだ」
弟は、どこかで見たことのあるような馬鹿にした顔で舌を出した。
母は料理を並べながら、「仲よくしなさい。いっつも喧嘩ばっかりして」と言う。