初めて着る服に舞い上がっていると、下から自分を呼ぶ母の声が聞こえた。

淡い水色のカーテンを開けると、ほぼ無意識のうちに電気を点けた明るい部屋にいる自分の顔が窓に写った。

カーテンを閉め、最後にもう一度手鏡で甚平を着た自分を見ると、部屋のドアを開けてから電気を消した。


階段を駆け下り、少し開けたドアの隙間からリビングに顔を突っ込むと、賑やかなバラエティ番組の音が聞こえた。

ダイニングチェアに腰掛けた弟がテレビを観て笑っている。

リビングのドアを一気に開け、「かわいくない?」と中に飛び込んだ。

弟はわたしを見ると、「紺……」と呟いた。

「なによ、変とか言うんじゃないでしょうね?」

「変っていうか……」

いや変だな、と弟は笑った。

「ぶっ飛ばすわよ?」とわたしが言うと、母が夕飯を運んできた。

甚平を着たわたしを見ると、「あら、かわいい」と笑う。