その後、色違いの甚平と和風なビーチサンダルを購入し、
別れ際に今度は水族館へ行こうと約束を交わした。
家に帰り部屋へ直行すると、わたしは早速、薫くんと色違いの、紺色の甚平を着た。
手鏡に、自分の顔から胸の上辺りまでを写す。
ほぼ初めて着る暗い色の服だったが、悪くはなかった。
店では、灰色でなにが描かれているのだろうかと思ったが、よく見ると もみじのような葉が描かれている。
「めちゃめちゃかっこいいんだけど」
誰もいない部屋で独り言をこぼし、購入した店の袋の上でビーチサンダルを履いた。
ビーチサンダルは、足が触れる部分が畳を作る藺草のような素材でできている。
紺色の鼻緒には、貝殻や花が落ち着いた色使いで描かれている。
手鏡に写した自分と袋の上の足を見ると、自然と上がってしまう口角をさらに抑えられなくなった。