「5歳離れてるってことは……今小6?」
「うん。里香の弟くんも?」
「そうだよ。下がいるって大変だよね、うるさいし、なにより邪魔してくる」
「邪魔……勉強とか?」
薫くんのかわいらしい予想に、「そんなの笑って済ませられるよ」と首を振る。
「あいつくらいになると、生活の邪魔をしてくるの」
「生活の邪魔を」
「そう。部屋を出ようとしたらドアのすぐ前にいたり、それだけならまだいいんだけど、ドアが自分にぶつかったら大騒ぎ。
んで2階にわたしたちの部屋があるんだけど、そこから1階に下りようとしたら今度、階段のとこで邪魔してくるの。
お前は鏡かよってくらいに一瞬のズレもなく、こっちが下りようとしたら弟のほうも同じように動くの。
そして今度、1階に下りたら下りたで、歯磨くときに洗面所で邪魔してくるの。先に弟が磨いてて、
そいつ、わたしより身長10センチ以上もでかいのに、1ミリもどこうとしないの。……もう、朝っぱらから大騒ぎ」
朝の騒ぎを語り終え、冷静になってから「自分のことばっかりごめん」と言うと、
薫くんは「里香の話は面白いから」と笑い、わたしの愚痴に対しては「でもそんなのが毎日じゃ大変だね」と頷いた。
「もう、わかってくれるのは薫くんくらいだよ」
「そんなことないよって言いたいところだけど、親は仲よくしろとか言うからね」
「そうなのそうなの、やっぱり強気だったり生意気だったりな下をもつ人にしかわかんないよね」
「本当、そうだよね」
ここまで共感できる話久々に聞いたよ、と薫くんは笑った。