席の移動を済ませ、帰りのホームルームも終わると、

薫くんは椅子と机がぶつかる音やクラスメイトの足音でざわめく教室で

「今回も近いんだね」と笑った。

「そうだね。嬉しい」と笑い返すと、薫くんはかわいく笑った。

彼はそのタイミングで廊下から男子生徒に呼ばれ、

「また明日」とわたしに手を振って小走りで廊下へ向かった。

薫くんを追って右側を見ると、みいの悪い笑顔が現れた。

ひっ、と小さく悲鳴を上げると、みいは

「ずいぶんとまあラブラブじゃなあい」とおばさんのような口調で言った。


「みいには頭のいい先輩彼氏がいるでしょう」

「まあそうだけどさ」

顔だけだと小野寺王子のほうがかっこいいんだよね、とみいは先輩に対して失礼なことを言って笑った。