昼休みにみいに言われた通り、わたしは午前中に書いたきり日誌を書いていない。

薫くんが書いておいてくれていない限り、まだ半分ほど書くことが残っている。


薫くんにはなんて告白しようと考える頭の片隅で日誌を書くのが面倒だと思いながら、

学級日誌と白字で書かれたビニールのような素材の、緑色の厚いノートを机に置いた。

ペンケースを漁っていると、「俺書いといたよ」と隣から薫くんの声がした。

「本当に?」

「うん。あとで提出すればいいと思って提げといたの」

「ああ、そうなんだ……。ありがとう」

「いや全然」

出してくるよ、と薫くんは手を出した。

「ああ、本当?」

ここで一緒に行くよなどと言えば不自然だろうかと思い、躊躇いつつ薫くんの手に日誌を渡した。

薫くんは小さく頷くと、鞄とともに席から離れていった。

今以上に伝えやすい教室はないと思いながら彼の後ろ姿を眺める。